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KOTANI Norihiro
小谷 典弘
医学部 医学研究センター
教授

教員情報
アピールポイント

①疾患細胞膜上の「分子会合体」を解析する技術・ノウハウを有している。
②様々な疾患細胞を対象とできる。
③世界的にも当該研究を実施している研究者はほぼいないので、これまでには発見できなかった新規創薬標的や診断マーカーを独占的に同定できる可能性がある。

研究内容

<実験概要>
 動物細胞膜上の分子は脂質二重層の流動に伴って膜上で常にダイナミックに運動しているが、あるタイミングで分子同士の「会合」が惹起され、その会合体が細胞機能に極めて重要であることが明らかとなってきた。我々は2008年に開発したラジカル反応を利用する新規細胞膜上分子会合体解析法(Enzyme-Mediated Activation of Radical Sources:EMARS)(文献1)を用いて様々な細胞上の会合体を同定し、その生物学的意義について研究を実施してきた。
現在は、これら会合体情報について、単に基礎研究で利用するだけでなく、創薬や診断技術の構築に利用するため、以下の3つの応用研究を展開している(下図参照)。

①分子会合体がん抗原を認識する抗体医薬の開発
がん細胞特異的2分子会合体をがん抗原と見立て、その認識抗体を抗体医薬として創薬することを目指す(文献2)。

②パンデミックウイルス受容体の迅速同定法の開発
SARS-CoV-2などのパンデミックウイルスの受容体を迅速同定し、抗ウイルス薬やワクチンの開発に必要な情報を提供することを目指す。

③ がん細胞が分泌するEV上の会合体情報を利用したリキッドバイオプシーの開発
がん細胞分泌EV上の分子会合体を腫瘍マーカーとして利用することを目指す(文献3)。

これら①~③を達成するために、必要な技術やツールを研究開発している。

備考

<参考文献>
1) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 105(21):7405-9 (2008).  
2) Cancer Sci. 110(8):2607-2619 (2019).
3) J. Proteome Res., 20, 7, 3519–3531(2021).